霧で輪郭が薄れる庭を、灰色と青の細かな違いで見せる。
何が描かれているか
庭の手前に草花が広がり、奥には柵と木々がぼんやり見える。右側の曲がった木の下では、女性が身をかがめている。遠景の枝や葉は霧に包まれ、空と地面の境目もはっきりしない。人物の動作を物語の中心にするのではなく、見通しの悪い庭全体の空気を描いた風景画だ。
作品の見どころ
灰色だけの絵に見えても、近づくと青みや緑み、花の明るい色が細かく混ざっている。近くの草花は比較的形が分かり、奥へ進むほど輪郭が薄れる。この違いが、狭い庭にも距離を生む。右の木の曲がった幹をたどり、そこから遠くの柵へ目を移すと、霧の中へ景色が溶けていく様子を追いやすい。細部はあいまいでも、近い場所と遠い場所は描き分けられている。
制作背景
1874年に制作された作品。オルセー美術館は、霧が形を弱め、繊細な銀灰色や青の調子を生む点に注目している。川や橋のはっきりした形を描く作品と比べると、同じ画家が天候によって描き方を変えていることが分かる。景色を知るためにすべての細部を見せる必要はなく、見えにくさ自体が絵の主題になる。
出典・画像について
画像:Alfred Sisley《霧、ヴォワザン》/Alfred Sisley / Wikimedia Commons — Public Domain Mark 1.0
CommonsのPublic Domain表示に基づく忠実複製です。複製画像の扱いには国・地域差があります。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
印象派に恋して―テーマから紐解く、光と色彩の魔法―
佐藤 晃子 著 / ナツメ社
印象派の基礎を一問一答と六つのテーマで学びながら、シスレー、モリゾ、カサットを含む画家たちの作品と人物像をたどる入門書です。
楽天ブックスで見る →