何が描かれているか
大きな黄色い太陽を背にして、1人が畑に種をまいている。手前を1本の木が斜めに横切り、画面をふたつに分けている。縦33センチ、横40センチほどの小さな絵である。
色は目に見えたままではない。空は緑がかった黄色、畑は紫。ゴッホはこの2色に主役を与え、感情と情熱を表そうとした。補色(互いを強く見せ合う色の組み合わせ)でいえば、黄と紫はちょうど一組にあたる。
作品の見どころ
種をまく人は、ゴッホが画家として生きたあいだ、ずっと気にかけ続けた題材である。素描(線で描いた絵)と油彩を合わせて、30点以上をこの主題で描いている。そのたびに構図も色も違う。
この1枚を描いていた1888年の秋、彼はポール・ゴーギャンと一緒に暮らして働いていた。ゴーギャンは、見たものをそのまま写すのではなく、頭の中のものをもっと描くべきだとゴッホに説いていた。目に見えない黄色い空と紫の畑は、その助言が形になったところでもある。
制作背景
1888年11月、35歳。アルルの「黄色い家」で、ポール・ゴーギャンとの共同生活のさなかに描かれた。
ゴーギャンが持ち込んだ考え方は、ゴッホのやり方と正面からぶつかるものだった。目の前の現実に頼りすぎるな、想像から描け。それがゴーギャンの主張である。