1889年6月
36歳

星月夜

画家 フィンセント・ファン・ゴッホ
The Starry Night / ニューヨーク近代美術館
夜の絵でありながら、昼のうちに何回かに分けて描かれた。窓から村は見えず、糸杉いとすぎも実際よりずっと手前にある。それでも空のうずは空想だけの形ではない。当時公表されていた星雲せいうんの観測図と一致する。見たものを写すのをやめ、感じたことを色と形で言う。近代絵画がそちらへ向かう入口に、この1枚が立っている。サン=レミの療養所りょうようじょで過ごした12か月のうち、1889年6月の作である。

何が描かれているか

夜空が画面の4分の3を占めている。渦を巻き、波のようにうねっている。右端に三日月、中央より少し左に金星が、それぞれ白と黄の輪に包まれて光る。
その下に、教会を囲む小さな村が静かに横たわる。尖塔せんとうは、背後の青黒い山なみより高く、鋭く突き出ている。空の激しさと比べると、村のほうは物音ひとつしない。

作品の見どころ

夜の絵でありながら、この絵は昼のうちに、何回かに分けて描かれた。見た条件とはまるで違う状況で仕上げられている。窓から村は見えなかったし、糸杉も実際よりずっと手前に描かれている。
見たものを写すのをやめて、感じたことを色と形で言う。ゴッホがここでやったのはそれである。青と黄を勢いよく置いた筆の跡は、外の世界を語ると同時に、絵の具そのものとしても目に入ってくる。近代絵画が気分・表現・象徴へ向かう入口に、この1枚が立っている。

制作背景

1889年6月、36歳。南フランスのサン=レミにある療養所で描かれた。サン=ポール=ド=モーソルという名の施設で、ゴッホは1889年から翌年にかけての12か月をここで過ごしている。
窓の外の眺めがきっかけになった。ただしそのまま写したわけではない。村は窓から見えず、別の眺めをもとにしている。教会の尖塔はフランスのものというより、彼が生まれたオランダでよく見る形をしている。

作品情報

寸法
73.7 × 92.1 cm
材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ニューヨーク近代美術館(MoMA)
目録
472.1941

出典・画像について

画像:フィンセント・ファン・ゴッホ星月夜》/Wikimedia Commons; artwork: The Museum of Modern Art, New York
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(画像情報:2026-09-03 確認)
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