宴会で笑う顔とは違う。黒い服の自画像が、画家の別の姿を見せる。
何が描かれているか
黒い服の男が、赤いカーテンの前に腰を下ろしています。こちらを見る表情には、大笑いする人物を描く時のような誇張がありません。落ち着いた服装と姿勢で、自信を持った一人の市民として、自分を見せています。
作品の見どころ
顔の近くの白い襟と、背景の赤、服の大きな黒を見比べてみてください。色数を絞った分、顔と手がよく目に入ります。宴会の絵で見せる、人物を次々と追いかけたくなる仕組みとは違い、視線が一人の人物のところに留まります。
制作背景
ステーンは多くの作品に、自分を笑える役で登場させました。だからこそ、この端正な自画像は大切です。絵の中で酔ったりふざけたりする人物を、そのまま画家の全人格と受け取れないことが分かります。笑いを演出する側の、慎重な自己紹介として見たい作品です。
出典・画像について
画像:Jan Steen《自画像》/自画像 — Jan Steen / Rijksmuseum / Public Domain Mark 1.0
全景の配布画像を比例縮小して使用。色補正や作品内容の切り取りはしていません。
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