「3つの黄色、それ以外は何もない」。黄色ひとつでどこまでやれるかの実験である。段階を細かく分ければ、同じ色でも画面は単調にならない。加えてこれは、ゴッホ自身の手による写しでもある。ゴーギャンにひまわりを一枚ほしいと頼まれ、渡すのを渋った彼は、代わりに二枚を自分で写した。ゴーギャンはその出来を「まったくフィンセントそのものだ」と言った。
何が描かれているか
黄色い壁を背に、黄色い花瓶へひまわりが挿してある。画面のほとんどが、3種類の黄色だけでできている。
「3つの黄色、それ以外は何もない」。ゴッホはそう説明した。ひとつの色だけを使って、それでも言いたいことが弱まらない絵になる。それを見せるための試みである。
作品の見どころ
ひとつの色でどこまでやれるか。この絵はその実験である。黄色を何段階にも使い分け、単調にならない画面を作った。
ひまわりの絵は彼にとって特別な意味を持っていた。「感謝」を伝えるものだ、と本人が書いている。1888年に描いた4点のうち、ミュンヘン版とロンドン版の2点は、しばらく一緒に暮らすことになった友人の画家ポール・ゴーギャンの部屋に掛けられた。ゴーギャンはそれを見て「まったくフィンセントそのものだ」と評している。褒め言葉である。
制作背景
1889年1月、35歳。アルルの「黄色い家」で描かれた。
ゴッホが花瓶のひまわりを大きな画面で描いたのは、アルルにいた1888年から1889年にかけてである。同じ主題を繰り返し描き、そのたびに黄色の使い方を変えていった。この絵はその最後の段階に来る。