完成された大作より、筆が走る小さな構想画のほうに勢いを感じることがあります。王と女王の出会いは、素早い色の動きから立ち上がります。
何が描かれているか
岸辺でアントニウスとクレオパトラが向かい合い、周囲に従者や兵士が集まっています。大きな帆や旗がその上へ広がり、足元には犬の姿もあります。人物の顔や衣は細部まで整えられず、明るい黄色や赤、白のまとまりとして見えてきます。
作品の見どころ
斜めに張る帆の下で、二人の顔と差し出された手に目が留まります。顔や衣の細部が省かれていても、出来事の中心は見失いません。色と光の塊が、人物を一人ずつ描き分ける前に、集まり全体の動きを伝えているのです。近くで見える筆跡と、離れて眺める大きな場面の両方を楽しめます。
制作背景
1745〜1747年頃の油彩スケッチです。メトロポリタン美術館は、のちに大きな規模で描く構図を、ここで素早く組み立てていると説明しています。また、クレオパトラの姿は古代エジプトの服装を再現せず、ヨーロッパ的な衣装で想像されていると指摘します。歴史の再現と、華やかな物語の演出の違いにも目を向けられます。
出典・画像について
画像:Giovanni Battista Tiepolo《アントニウスとクレオパトラの出会い(油彩スケッチ)》/アントニウスとクレオパトラの出会い(油彩スケッチ) — Giovanni Battista Tiepolo / Wikimedia Commons(忠実な二次元複製) / Public Domain Mark 1.0
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