何が描かれているか
キリストの十字架を中心に、他の十字架を立てる人、馬に乗る人、座り込む人が広い丘へ散らばる。手前では女性たちが倒れた人物に寄り添う。
一人の表情を拡大する代わりに、受難の場に集まった人々を見渡させる。画面の端まで動きが続き、中心へ戻るまで時間がかかる。
作品の見どころ
斜めに伸びる梯子、槍、綱が、中央の縦の十字架へ目を運ぶ。大勢を配置しても視線が迷い続けないのは、線の向きと明暗が繰り返し中心を指すからである。
薄暗い地面、赤い服、明るい肌が点々と現れる。少し離れると群衆全体の流れが見え、近づくとそれぞれの身振りが別の話を始める。
制作背景
所蔵するサン・ロッコ大信徒会館は、画家が1565年にこの巨大な《磔刑》を完成したと記す。横幅は5メートルを超え、会館の部屋の壁を占める。
一枚だけの注文ではなく、室内の受難の連作の一部である。連作全体を本作の一点として数えず、ここではこの横長の画面を紹介する。 会館の記録では翌年以降も同じ部屋の絵が描かれ、受難を主題とする構成が整った。