何が描かれているか
ユピテルが幼子ヘラクレスを抱え、眠る妻ユノの胸へ近づける。驚いて目覚めたユノの身体がねじれ、飛び散る乳が夜空の星となって天の川を生む。
クピドたち、鷲、孔雀が雲の間を飛び、神々の身体を囲む。人物は画面中央で旋回するように重なり、青い夜空へ白い光と赤い布が弧を描く。
作品の見どころ
横たわるユノと斜めに飛ぶユピテルをぶつけ、静かな授乳ではなく突然の出来事として描く。腕、脚、布、鳥の翼が異なる方向へ広がり、空全体が動いて見える。
現在の画面下端は不自然に近く、人物の足や雲が切れている。これは構図の失敗ではなく、作品が後世に小さくされた結果であり、失われた下部を想像する余地がある。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは1575年頃の作品とし、1727年以前に画面下部がおよそ3分の1切り取られたと説明する。元の用途や注文主は確定していない。
《天の川の起源》という題名も制作当初の記録ではない。美術館は、幼子ヘラクレスへ神性を与える授乳の物語を表す《ヘラクレスの授乳》の方が内容に近いと指摘する。