1555〜1556年頃
37歳頃

スザンナと長老たち

画家 ティントレット
Susanna and the Elders / ウィーン美術史美術館
明るい裸身と鏡の周囲に、薔薇の垣根からのぞく二人の長老を潜ませる。美しさを見る行為そのものが問われる。

何が描かれているか

スザンナが水浴の前に衣を脱ぎ、鏡を見ながら足元の布や宝石を整える。肌には明るい光が当たり、静かな庭と水面の中で、本人は一人きりに見える。
しかし薔薇の垣根の手前と奥から、二人の長老が身を伏せてのぞく。垣根は画面を斜めに貫き、鑑賞者の視線も長老たちと同じ方向へ導いてしまう。

作品の見どころ

明るい身体、鏡、水面が見ることを主題にする。美しい裸身を鑑賞する視線と、物語の中で不正に監視する長老の視線が重なり、見る側を安全な外へ置かない。
薔薇、木、垣根の緑が人物の肌を囲み、赤い衣が中央を支える。奥へ続く道と鹿や鳥のいる庭は穏やかだが、左右の小さな顔を見つけると空間全体が罠に変わる。

制作背景

主題は旧約聖書外典『ダニエル書補遺』のスザンナ物語である。二人の長老は彼女を脅して関係を迫り、拒まれると姦通の罪を偽証するが、若いダニエルが証言の矛盾を暴く。
ウィーン美術史美術館は1555〜1556年頃の作品として所蔵する。官能的な裸身だけでなく、視線、偽証、女性の危険を含む物語であるため、長老の配置まで含めて読む。

作品情報

材質・技法
油彩ゆさい、カンヴァス
所蔵
ウィーン美術史美術館
位置づけ
明るい身体と鏡を中心に置きながら、左右に潜む長老と視線の罠をつくる。美しさと監視が同居する。

出典・画像について

出典:ウィーン美術史美術館 作品記録2026-09-22 確認)
画像:Jacopo Tintorettoスザンナと長老たち》/スザンナと長老たち — Jacopo Tintoretto / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
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