何が描かれているか
横長の広間で十二使徒が最後の晩餐の支度をし、右端でキリストがひざまずいてペトロの足を洗う。中央では弟子たちが靴や衣を脱ぎ、犬がその間を歩く。
左奥には晩餐の食卓が置かれ、アーチの先へ運河沿いの建物が続く。床の格子、長い食卓、柱が一つの消失点へ向かい、現実より深い空間をつくる。
作品の見どころ
主役を中央から外したため、最初に日常的な動作が目へ入る。靴を脱ぐ使徒、布を扱う人物、犬をたどった後に、右端のキリストへ気づく流れが謙遜の主題と重なる。
床の斜線は正面から見ると極端だが、元の教会で右側から見ると整って見えた。絵の中だけで完結せず、置かれる壁と鑑賞者の立つ場所まで構図に組み込んでいる。
制作背景
プラド美術館は1548〜1549年、油彩・カンヴァスとして所蔵する。ヴェネツィアのサン・マルクオーラ教会で《最後の晩餐》と向かい合う壁のために描かれた。
17世紀にイングランド王チャールズ1世の収集へ入り、後にスペイン王室へ渡った。現在の美術館では壁との関係が変わるため、元の斜めの視点を想像して見る必要がある。