何が描かれているか
水辺で女性たちが集まり、右のディアナが左のカリストへ指を向けています。仲間はカリストの衣を引き、彼女は身を守ろうとしています。妊娠を知られ、仲間から追い出される神話の場面です。
物語ではカリストはユピテルから性暴力を受け、子を宿しました。画面はその女性へ、ディアナの怒りが向く瞬間を描いています。水浴びにとどまらない場面です。
作品の見どころ
中央の小川が女性たちを二つの集まりに分け、指先や腕の向きが両側をつなぎます。空の雲や傾いた石の台も動きを感じさせ、身体のもつれと風景が一緒に緊張を作っています。
肌の輪郭には、細く引いた絵の具や小さな明るい点が見えます。筆の跡が、離れると身体になります。画面全体を細い線で固めない描き方も、場面の緊張に合っています。
制作背景
1556〜1559年、スペイン王フェリペ二世のために描かれた作品です。オウィディウスの『変身物語』を主な題材とする神話画の一群を、画家は詩を意味する「ポエジア」と呼びました。
《ディアナとアクタイオン》とは対になる絵で、背景や手前の流れが続くように作られています。ロンドンとスコットランドの国立美術館が共同所蔵する作品で、ウィーンの後年の別版とは区別しています。