何が描かれているか
裸の女性が白い寝台に横たわり、こちらをまっすぐに見る。右手に薔薇を持ち、左手は身体の前に置く。足元では小犬が眠り、奥の部屋では二人の女性が衣装箱を扱う。
手前の寝台と奥の室内は、暗い仕切りによって分かれる。それでも床の線、赤い衣、白い布が奥へ続き、裸体を神話だけの遠い世界ではなく、同時代の家の中へ置く。
作品の見どころ
女性の肌と白い布、背後の濃い緑、奥の赤い衣装が大きな色の対比を作る。背景を暗くすることで、身体の輪郭が光を受けたように前へ出る。
視線を向けられることで、見る側も場面の外に隠れてはいられない。裸婦を一方的に眺める絵としてだけでなく、こちらが見返される構図として考えられる。
制作背景
1538年、グイドバルド2世・デッラ・ローヴェレがティツィアーノから購入した作品で、のちにヴィットーリア・デッラ・ローヴェレの持参財としてフィレンツェへ移った。現在はウフィツィ美術館が所蔵する。
ウフィツィは、ヴェネツィアの婚礼儀礼と若い花嫁に結びつけて解説する。薔薇、小犬、衣装箱も婚姻を連想させるが、これは所蔵館が示す解釈として紹介し、唯一の答えとはしない。