何が描かれているか
朝日の差す水辺に古代都市カルタゴが広がり、船、建築中の建物、多くの人々がいる。
左の青い服の女性が女王ディドで、右には高い樹木と夫シュカイオスの墓が立つ。青い服のディドは画面左に小さく立ち、港の人々や船、建物に囲まれている。中央の水路は朝の光を受けて遠くへ開き、都市が現在も建設されている様子を広い景観で示す。
作品の見どころ
中央の明るい水路へ建築と樹木の線を集め、都市全体を光の奥へ導く。
古代の人物は小さい。誰か一人より、文明が築かれていく広い時間を風景で見せる。左右の建築と高い樹木が額縁のように中央の光を囲む。細かな人の営みから遠い水平線へ目を移すと、個人の物語より都市の繁栄が大きく扱われていると分かる。
制作背景
1815年作。ウェルギリウスの叙事詩《アエネーイス》に登場するカルタゴ建設を主題にした。
ターナーは17世紀フランスの風景画家クロード・ロランを強く意識し、遺言でこの絵をクロードの作品の隣へ展示するよう求めた。ディドの前の武装した男性はアエネアスの可能性があるが、所蔵館も断定していない。クロード・ロランとの比較も、単なる模写ではなく、似た構成を用いて別の歴史景観を作った点に注目する。