1807年6月11日刊
32歳

イアソン(リベル・ストゥディオルム)

画家 J・M・W・ターナー →
Jason, part I, plate 6 from Liber Studiorum / メトロポリタン美術館
小さな英雄より、行く手を塞ぐ森に目を向ける。風景と神話を組み合わせた版画はんがです。

何が描かれているか

暗い森で、武装したイアソンが倒木に足をかけ、竜へ進もうとしている。竜の守る金羊毛、金色の羊の毛皮を求める神話の場面だ。人物は右下に小さく置かれ、竜の曲がる胴と大きな木々がその前を塞ぐ。
最初は木の幹に目が行き、あとから人物と竜を見つける。右上の明るい斜面から中央の暗いくぼみへ、光も沈み込む。英雄の顔を大きく見せる代わりに、周囲の森が冒険の難しさを感じさせる。

作品の見どころ

倒木に沿って細い線をたどると、樹皮や折れた枝まで刻まれている。その線を描くエッチングをターナーが担い、彫版者チャールズ・ターナーがメゾチントで明暗を加えた。
線の密度と茶色の濃淡を分けて見ると、木の形と森の奥行きを読める。上のHは歴史的風景という分類の印だ。ここでいう歴史には神話も含まれ、風景の中で物語を見せている。

制作背景

1807年刊の《リベル・ストゥディオルム》第1部に入る。集名は「習作しゅうさくの書」の意味で、さまざまな風景の種類を版画で示す試みだった。田園を描いた《風車と水門》と並べると、同じ技法で異なる内容を扱うことが分かる。
掲載する第1ステートと、別館所蔵の第5ステートを区別する。版への変更を経た刷りは、同じ題名でも細部まで同一ではない。
掲載する刷りを区別しています
メトロポリタン美術館所蔵28.97.6、第1ステート(全5)を掲載します。1807年6月11日は所蔵館の記録する刊行日です。別館の最終ステートとは区別しています。

作品情報

材質・技法
紙にエッチングとメゾチント(第1ステート/全5)
作者
構想・エッチング:J・M・W・ターナー/メゾチント:チャールズ・ターナー
所蔵
メトロポリタン美術館
目録番号
28.97.6
寸法
版面18.4 × 26 cm/紙21 × 29.2 cm(高さ×幅)

出典・画像について

画像:構想・エッチング:J・M・W・ターナー/メゾチント:チャールズ・ターナー《イアソン(リベル・ストゥディオルム)》/構想・エッチング:J・M・W・ターナー/メゾチント:チャールズ・ターナー / The Metropolitan Museum of Art, Harris Brisbane Dick Fund, 1928 / CC0
画像の出典 / CC0 1.0(Met Open Access)(画像情報:2026-10-02 確認)
所蔵館がPublic DomainとしてCC0配布する図版です。紙の余白・端・銘を残し縮小のみ。色補正・修復・切り取りなし。掲載する刷りの状態と刊行日を所蔵記録で区別しています。通常表示では図柄と分類字・銘を大きく示し、「紙面全体を見る」で全余白と紙端を確認できます。元の画像ファイルは切り取っていません。
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