何が描かれているか
川の向こうで大きな建物が燃え、橙色の炎と煙が空へ広がっている。赤や黄色は水面にも映り、手前の岸には見物する人々が集まる。右下には川を進む船があり、その暗い姿が明るい火と対照を作る。
主題は、1834年10月16日にロンドンの国会議事堂を焼いた火災だ。川はテムズ川で、本作では下流側から、炎と橋を少し離れて眺める。
作品の見どころ
炎だけでなく、水面へ伸びる光を見てみよう。縦に揺れる反射が火の大きさを増し、空の煙と川の色がつながる。建物の形は光の中でかすむが、手前の暗い人物が距離と規模の目安になる。
クリーヴランド美術館は、ターナーが実際より炎を高く描いたと説明する。見た出来事をそのまま写すより、災害に圧倒される人の感覚を強めた作品として読むことができる。
制作背景
題名の1834年は火災の日で、絵の制作年は1835年である。日付のある事件と、その後に作られた絵の時期を分けて見ると分かりやすい。
ターナーは同じ火災を描く二つの油彩を残した。本作はクリーヴランド所蔵で、もう一方のフィラデルフィア美術館の作品は橋の近くから眺める。視点の異なる別の絵である。