雨、蒸気、速度―グレート・ウェスタン鉄道
画家 J・M・W・ターナー →Rain, Steam, and Speed—The Great Western Railway / ロンドン・ナショナル・ギャラリー
雨、蒸気、鉄道を一つの動きにし、近代の速度そのものを描いた。
何が描かれているか
蒸気機関車が雨の中、メイデンヘッド鉄道橋をこちらへ走る。
左には古い道路橋と小舟があり、線路上には小さな野ウサギが描かれていた痕跡がある。列車は右寄りの線路から正面へ迫り、左の古い橋と小舟、右の畑は雨の中へ薄く沈む。機関車だけでなく、橋の長い直線が画面の奥と手前を急につないでいる。
作品の見どころ
橋の斜線を画面奥から手前へ急に広げ、列車が飛び出してくる速度を作る。
雨、蒸気、煙、光を別々に描き分けず、黄褐色の筆触へ溶かすことで、視界そのものが動いて見える。黄褐色の光の中で、線路だけが細く暗い方向線になる。列車を細部まで描かず、雨と蒸気へ輪郭を溶かすことで、物体の形より近づく速さを先に感じさせる。
制作背景
1844年作。橋はイザムバード・キングダム・ブルネルが設計し、1838年に完成したグレート・ウェスタン鉄道の高架橋である。
所蔵館は、ターナーが新しい交通を拒んだのではなく、鉄道と橋を現代の風景として積極的に描いたと説明している。野ウサギは上塗りの絵具が透明化し、現在は見えにくいと所蔵館が説明する。見える細部だけで否定せず、版画や記録で確認された要素と、現在の画面状態を区別する必要がある。
出典・画像について
画像:Joseph Mallord William Turner《雨、蒸気、速度―グレート・ウェスタン鉄道》/雨、蒸気、速度―グレート・ウェスタン鉄道 — J. M. W. Turner / Wikimedia Commons
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