ポリュフェモスをあざけるユリシーズ
画家 J・M・W・ターナー →Ulysses deriding Polyphemus / ロンドン・ナショナル・ギャラリー
神話の人物を光と雲の中へ小さく置き、海と空を主役に変えた。
何が描かれているか
帆を張ったユリシーズの船が、朝日の海を右へ進む。
左の岩山と雲の中には、船へ手を伸ばす一つ目の巨人ポリュフェモスが薄く描かれる。巨人は岩山から独立した明瞭な身体ではなく、左側の雲と岩の中に溶け込むように現れる。船上のユリシーズも小さく、白い帆と朝日の広がりの中から探す必要がある。
作品の見どころ
神話の中心人物さえ光と雲の中へ小さく置き、海と空を物語の主役にする。
赤い旗、白い帆、金色の水面を順に追うと、左の暗い岩から右の光へ船が抜けていく動きが見える。暗い岩から明るい海へ向かう斜線と、右へふくらむ帆が船の進行方向を示す。赤い旗や衣服は小さいが、青灰色と金色の画面の中で物語の位置を結ぶ目印になる。
制作背景
1829年作。ホメロスの《オデュッセイア》で、ユリシーズが逃げながら巨人をあざける場面を描く。
所蔵館は、歴史的風景画の中で色と光の役割がいっそう大きくなった作品と説明している。主題は《オデュッセイア》第9巻に基づく。神話の出来事を人物だけで説明せず、逃走する船、遠ざかる島、光へ開く海を一体にした歴史的風景画として構成している。
出典・画像について
画像:Joseph Mallord William Turner《ポリュフェモスをあざけるユリシーズ》/ポリュフェモスをあざけるユリシーズ — J. M. W. Turner / Wikimedia Commons
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
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