風車と水門(リベル・ストゥディオルム)
画家 J・M・W・ターナー →Windmill and Lock, part VI, plate 27 from Liber Studiorum / メトロポリタン美術館
風車と水門を、刻んだ線と柔らかな明暗で見比べる。田園の風景を分類した版画集の一枚です。
何が描かれているか
風車が左の高みに立ち、手前には水門と白い馬が見える。人物が門の近くで働き、右奥の橋へ道と水路が続く。遠景だけでなく、土地を使って暮らす人の動きも描かれている。
広い空の薄い茶色と、手前の水門の濃い影を見比べたい。羽根や門の輪郭は細い線で読める一方、雲の明るさは滑らかな濃淡で示される。小さな紙面の中にも、近くと遠くの距離がある。
作品の見どころ
エッチングは、金属の版に薬品で溝を作り、その溝のインクを紙に写す技法だ。ターナーが作った線に、彫版者ウィリアム・セイがメゾチントの明暗を加えた。輪郭と光を二人で組み立てている。
メゾチントでは版の表面を細かく荒らし、部分的に滑らかにして明るい調子を作る。画面上のPは田園風景の分類を示す。働く人と設備を含む景色も、ここでは田園として選ばれた。
制作背景
1811年刊の版画集《リベル・ストゥディオルム》の一枚。集名は「習作の書」を意味し、風景を種類ごとに示す試みだった。油彩や水彩だけでなく、印刷して伝える仕事を見る作品である。
掲載するのは第1ステートの刷りだ。ステートとは、版への変更で区別する状態をいう。同じ図柄の別の刷りと、紙の色や余白まで同じだとは考えない。
掲載する刷りと刊行日を区別しています
メトロポリタン美術館所蔵28.97.27、第1ステート(全3)です。1811年6月1日は館が示す刊行日で、この紙の印刷日を個別に確定するものではありません。
作品情報
材質・技法
紙にエッチングとメゾチント(第1ステート/全3)
作者
構想・エッチング:J・M・W・ターナー/メゾチント:ウィリアム・セイ
寸法
版面17.8 × 26 cm/紙21.4 × 29.5 cm(高さ×幅)
出典・画像について
画像:構想・エッチング:J・M・W・ターナー/メゾチント:ウィリアム・セイ《風車と水門(リベル・ストゥディオルム)》/構想・エッチング:J・M・W・ターナー/メゾチント:ウィリアム・セイ / The Metropolitan Museum of Art, Harris Brisbane Dick Fund, 1928 / CC0
所蔵館がPublic DomainとしてCC0配布する図版です。紙の余白・端・銘を残し縮小のみ。色補正・修復・切り取りなし。掲載する刷りの状態と刊行日を所蔵記録で区別しています。
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