何が描かれているか
青い衣の聖母マリアが教会内で本を開き、大きな翼の天使ガブリエルが前にひざまずく。二人の間には金色の文字が浮かぶ。
上方の窓から光線が斜めに入り、小さな鳩がマリアへ向かう。床の旧約聖書の場面、壁画、柱の形まで細かく描かれる。天使の翼とマリアの衣が画面の左右を占め、間を横切る金文字と光が二人の応答を結ぶ。
作品の見どころ
天使の衣には宝石と金糸のような模様が広がり、マリアの単色に近い青と対照を作る。建築の縦線は細長い画面をさらに高く見せる。
言葉はマリアの返答だけ上下が逆向きで、神へ読ませるように描かれる。文字を情報だけでなく、声の方向として使っている。床の模様から柱、窓へと上向きに目を移すと、細長い画面が地上から天上へ伸びる感覚を味わえる。
制作背景
ナショナル・ギャラリー・オブ・アートは1434年から1436年頃とし、1937.1.39として所蔵する。元は板絵だったが、19世紀にカンヴァスへ移された。
教会建築の古い部分と新しい部分を旧約と新約の関係に結びつける読みがある。ただし細部の意味をすべて一つの体系へ固定しない。板からカンヴァスへの移し替えは現在の見え方にも関わるため、当初から今の支持体だったとは考えない。