目を閉じた女性と、寝台に置かれた一輪のバラ。眠る人のように見えますが、亡くなった妻の姿を残したいという、夫の願いから生まれた肖像です。
何が描かれているか
ヴェネツィア・ディグビーは1633年に急死し、夫ケネルムがヴァン・ダイクに肖像を頼みました。描かれているのは、眠っている時の姿ではなく、死の直後の妻です。
作品の見どころ
白い寝衣と枕、シーツのひだがつながり、周囲の青い布が彼女を包みます。頬には淡い色が残り、死の硬さよりも静かな眠りを思わせます。その間に置かれた小さなバラへ、自然と目が向きます。
制作背景
夫は手紙の中で、バラは画家が加えたものだと書き、盛りを過ぎてしおれゆく花を妻の体に重ねています。絵に見える花の意味を、依頼した人自身の言葉から知ることのできる作品です。
出典・画像について
画像:Anthony van Dyck《死の床のヴェネツィア・ディグビー》/死の床のヴェネツィア・ディグビー — Anthony van Dyck; Wikimedia Commons / Public Domain Mark 1.0
採用した配布画像の全景を使用。比例縮小のみで、拡大や色補正はしていません。
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