1632年頃
33歳頃

十字架上のキリスト

画家 ディエゴ・ベラスケス
The Crucified Christ / プラド美術館(マドリード)
暗い背景から十字架と身体だけを浮かび上がらせる。大勢の人物や風景を置かず、正面向きの姿、白い腰布、顔を覆う髪へ静かな集中を作る。

何が描かれているか

黒に近い背景の前に、十字架へかけられたキリストだけが立つ。頭は前へかしき、長い髪が顔の右側を覆う。腰の白い布は大きく折り返され、暗い画面の中で身体とともに浮かぶ。
手足から流れる血は細く、周囲に嘆く人物や風景はない。上の札、木の十字架、足元の小さな台までが正面に揃い、左右の動きを抑えた静かな構成になる。

作品の見どころ

強い明暗を使っていても、光は一部だけを激しく照らすのではなく、身体の正面へゆっくり広がる。輪郭りんかくの柔らかな影が、平らな黒い背景から身体を立体的に見せる。
物語を説明する人物を省いたことで、見る人はキリストと直接向き合う位置へ置かれる。劇的な身振りより、垂れた頭、閉じた手、白い布の重さを時間をかけて見る作品である。

制作背景

1632年頃に制作された油彩ゆさい画で、プラド美術館がP001167として所蔵する。第1回イタリア旅行から戻った後の宗教画にあたる。
プラドには別の小型の《十字架上のキリスト》P002903もあるが、その作品はベラスケスへの帰属に意見が分かれる。ここでは大型のP001167だけを扱い、二つの作品を混同しない。
別の小型同題作とは区別します
ここで扱うのはプラドP001167です。帰属に意見が分かれる小型のP002903ではありません。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩
所蔵
プラド美術館
目録番号
P001167

出典・画像について

画像:Diego Velázquez十字架上のキリスト》/Diego Velázquez, 十字架上のキリスト, via Wikimedia Commons.
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(画像情報:2026-09-10 確認)
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