何が描かれているか
半裸のバッカスが樽の上に座り、ひざまずく男へつたの冠をかぶせる。周囲では日に焼けた男たちが杯や鉢を持ち、こちらへ笑顔を向ける。左奥には神に従う裸身の人物が横たわる。
バッカスの明るい肌と淡い布は、茶色い服を着た男たちから浮かび上がる。それでも神と人間は別々の世界へ分けられず、肩や腕が重なり、一つの酒宴として画面を埋める。
作品の見どころ
古代神話の神を理想的な場所へ置かず、セビーリャ時代のボデゴンに登場しそうな人物と並べる。神話と日常の差が消えるのではなく、白い身体と土色の顔、静かな神と笑う人々の対比として残る。
右側の群れで器を持つ男はこちらへ笑顔を向け、鑑賞者まで宴へ引き込む。中央の戴冠だけを見るか、周囲の笑顔を追うかで、宗教的な儀式のようにも、気さくな集まりのようにも見える。
制作背景
1628年から1629年に制作され、1629年7月の支払記録が残る。プラド美術館がP001170として所蔵し、《酔っ払いたち》という別名でも知られる。
プラド美術館は、これをベラスケスが神話物語を扱った最初の試みと位置づける。『最初』は所蔵館の評価として示し、古代神話を身近な人物像へ結びつけた点を画面から確かめる。