何が描かれているか
鍛冶場で鎧を作っていたウルカヌスと職人たちの前に、月桂冠をつけたアポロンが現れる。職人たちは金づちを止め、口を開く者、身を乗り出す者、横目で見る者など、違う反応を示す。
明るいアポロンは左端に立ち、ほぼ裸の職人たちは半円状に並ぶ。金床、熱した金属、鎧、炉の火が仕事場を具体的にし、神話の出来事を現実の作業が中断された瞬間として見せる。
作品の見どころ
物語では、アポロンがウルカヌスへ妻ヴィーナスの裏切りを知らせる。画家は裏切りそのものを描かず、知らせを聞いた直後の顔と身体だけを選んだ。目線を一人ずつ追うと、驚きが同じ表情ではないことが分かる。
初期の強い暗闇に比べ、部屋の奥まで柔らかく光が回る。人体の量感と、前後にずれる足や道具によって、横一列の群像ではなく、人が動ける奥行きのある工房を作っている。
制作背景
1630年、第1回イタリア旅行中に制作された。プラド美術館がP001171として所蔵する。古代神話を扱いながら、衣装や建築を理想化しすぎず、同時代の工房を思わせる場面にした。
イタリア旅行を一人の画家から受けた影響だけで説明せず、古代彫刻、人体、空間、色彩を直接見た経験が、セビーリャ時代とは違う明るさと群像へ結びついた作品として見る。