1660年代前半
30歳前後

音楽の稽古

画家 ヨハネス・フェルメール →
Lady at the Virginals with a Gentleman / ロイヤル・コレクション(英国)
部屋の奥で鍵盤楽器に向かう女性と、その隣の男性。床の模様をたどると、鏡の中にもう一つの視点が見つかります。

何が描かれているか

奥で、女性が背を向けて鍵盤楽器の前に立ち、男性がその隣にいます。手前には布を掛けた卓と白い水差し、椅子があります。床には大きな弦楽器が置かれています。
左の窓から入る光が、白黒の床や奥の壁を照らします。人物だけを近くに描く作品とは違い、私たちは部屋の入口近くから、家具の向こうにいる二人を見る位置に置かれています。

作品の見どころ

床の線と家具の重なりを奥へたどってみてください。卓が右から大きく張り出し、椅子や弦楽器が間に置かれることで、二人までの距離が感じられます。明るい壁が奥の人物を見やすくしています。
鍵盤楽器の上の鏡には、女性の顔が映っています。背中から見る姿と鏡の像を比べると、違う向きの見え方が共存します。音は聞こえなくても、静かな交流を想像できる場面です。

制作背景

制作年代は所蔵元の現在の表示では1660年代前半です。楽器はヴァージナルという鍵盤楽器。一般に《音楽の稽古》と呼ばれますが、男性が教師なのか恋人なのかは確定していません。
1762年に王室へ入った際は、署名の誤読で別の画家の作品とされ、1866年にフェルメール作へ帰属が改められました。授業の場面と決めず、音楽と男女の距離を考えられます。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ロイヤル・コレクション(英国)
目録番号
RCIN 405346
位置づけ
床・家具・鏡による深い室内と、音楽をめぐる人物表現を比べる作品。

出典・画像について

画像:Johannes Vermeer《音楽の稽古》/音楽の稽古 — Johannes Vermeer / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0(画像情報:2026-10-08 確認)
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