何が描かれているか
緑色の衣を着たニコラウスがひざをつき、その周りを聖職者たちが囲む。上からは天使が、司教の帽子や杖を持って降りてくる。ニコラウスが司教に任じられる場面を描いた祭壇画だ。
題材は『黄金伝説』という聖人の物語集に伝わる話に基づく。天使が儀式に必要な品を運ぶことで、この役割が神に選ばれたものだと示す。伝説を絵にしたものだ。
作品の見どころ
画面の人物は、中央の低い位置へ向かうV字のように配置されている。その底にいるニコラウスから、上の天使へ目を動かすと、縦長の形が主題を伝えるために使われていることが分かる。
白い衣服に当たる光と、鮮やかな緑の衣を見比べよう。近くで見ると細かな線や点に見える筆遣いが、離れると布の折り目や輝きになる。距離によって変わる印象も面白い。
制作背景
1562年、マントヴァ近郊のサン・ベネデット・ポ修道院教会のために制作された。1561年末に記録された注文では、ニコラウスなど三人の聖人の生涯から、三枚の祭壇画が求められていた。
高さ約2.9メートルの作品で、現在はロンドンのナショナル・ギャラリーにある。宴会の絵で知られるヴェロネーゼが、教会の場に合わせ、色彩と人物配置で祈りの中心をつくる姿も確かめられる。