何が描かれているか
敗れたペルシア王ダレイオス3世の母シシュガンビスが、家族とともにギリシア側の将軍へひざまずく。彼女は背の高いヘファイスティオンをアレクサンドロス大王と取り違える。
右端近くのアレクサンドロスは、隣の友を指して「彼もまたアレクサンドロスだ」と許す。女性たちの豪華な衣装、兵士、従者、猿が、白いアーチの前へ横長に並ぶ。
作品の見どころ
王母の誤りは人物の大きさではなく、視線と手ぶりで示される。ひざまずく女性、指を差す大王、静かに立つ友を順に追うと、言葉のない画面から物語の転換を読める。
古代の出来事を、16世紀ヴェネツィアの祝祭や舞台を思わせる建築と衣装へ移す。白い石、金色の布、赤や青の衣が明るい帯となり、敗者への寛容を華やかに演出する。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは1565〜1567年頃の作品として所蔵する。古代ローマの著述家が伝えた物語を主題とし、ヴェネツィアのピザーニ家の別荘のために描かれた可能性が高い。
美術館は画面の一部に工房の参加がありうることも記録する。ヴェロネーゼの大作は工房制作を含むため、すべての筆触を本人一人へ帰すより、設計と共同制作の関係を見る。