何が描かれているか
川から拾われた籠のそばで、豪華な衣装の女性たちが幼いモーセを囲む。侍女が白い布を広げ、別の女性は赤子へ手を伸ばし、王女が発見を見守る。
右奥には川、木、建物、遠くの人々が続く。画面は小さいが、宝石、髪飾り、色鮮やかな布、犬まで描き込み、聖書の場面を宮廷の行列のように見せる。
作品の見どころ
中心の赤子は小さく、周囲の手と視線によって見つける。衣装の赤、白、青が人物を区別し、かがむ者と立つ者を交互に置いて、発見の驚きをリズムに変えている。
古代エジプトの王女を16世紀ヴェネツィアの貴婦人のように描く。時代考証の不足ではなく、聖書の出来事を当時の観客が知る華やかな世界へ近づける方法である。
制作背景
旧約聖書『出エジプト記』では、ヘブライ人の男児殺害命令を逃れるため、母が赤子モーセを籠へ入れてナイル川へ置く。ファラオの娘が発見し、王宮で育てることになる。
プラド美術館は1580年頃の油彩画として所蔵する。ヴェロネーゼと工房はこの主題を複数回描いたため、似た構図の別作品と混同せず、所蔵館と寸法を確認する必要がある。