1575〜1580年頃
50歳前後

ウェヌスとアドニス

画家 パオロ・ヴェロネーゼ
Venus and Adonis / プラド美術館
眠る若者を女神が抱き、クピドが猟犬を止める。これから起きる死を、別れの前の静かな時間として描く。

何が描かれているか

若い狩人アドニスがウェヌスの膝で眠り、女神は扇で風を送る。クピドは猟犬の一頭を抱えて止めるが、別の犬は立ち上がり、狩りへ向かう時が近い。
二人の身体は木陰で大きな三角形をつくり、足元には弓矢と犬が集まる。遠くの風景は明るく開き、静かな休息の場と、外へ進む狩りの世界を分ける。

作品の見どころ

眠るアドニスの重さを、ウェヌスの腕と膝が支える。女神の手は優しいが、犬と弓矢は別れを予告し、現在の静けさに未来の死が入り込んでいる。
肌、赤い布、犬の毛、金属の飾りを描き分けながら、人物の輪郭りんかくを柔らかな光でつなぐ。クピドと犬の小さな動きが、大きな二人の止まった姿と対照になる。

制作背景

主題はオウィディウス『変身物語』に由来する。ウェヌスはアドニスへ危険な獣を狩らないよう忠告するが、若者は出発し、猪に襲われて命を落とす。
プラド美術館は1575〜1580年頃の作品として所蔵する。同館の《ケファロスとプロクリス》と対になる構想だったと考えられ、愛と死を扱う二つの神話が対応する。

作品情報

材質・技法
油彩ゆさい、カンヴァス
所蔵
プラド美術館
位置づけ
狩りへ向かえば死ぬ若者を女神が引き止める物語。眠り、扇、猟犬の動きで、別れの前の静けさを描く。

出典・画像について

出典:プラド美術館 作品記録2026-09-22 確認)
画像:Paolo Veroneseウェヌスとアドニス》/ウェヌスとアドニス — Paolo Veronese / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
Public Domain表示の画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →