何が描かれているか
女性が緑の長椅子に座り、こちらへ顔を向ける。白い衣の上に赤みのある短い上着を着て、頭には布を巻いている。金色の飾りと腰の小さな留め具も見える。背景の壁は暗く、人物の服と顔が明るく際立つ。上半身は正面を向きながら脚は少し斜めになり、硬い記念写真のようには見えない肖像だ。
作品の見どころ
白いスカートの金色の点と緑のクッションの模様を見比べたい。目を引く装飾は多いが、人物の姿勢はくつろいでいる。画家は服を単なる富の印としてだけでなく、色と形が動く場所として使う。赤い上着、白い衣、緑の長椅子が大きな三色を作り、顔へ戻る視線を支える。頭の布の柔らかな形も、背景との境を変えている。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは1789年の板に油彩、所蔵番号1946.7.16と記録する。同館は頭の布と上着にトルコ風、衣に古代風の流行を読み、腰の飾りは英国製のカメオと説明する。どの要素も当時の富裕層が選んだ装いである。描かれた年はフランス革命が始まった年だが、絵を出来事の直接の記録と決めつけず、肖像に映る服装をまず見たい。
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鈴木杜幾子 著 / KADOKAWA
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