何が描かれているか
山の斜面が左右から迫り、谷の水辺が遠くへ続く。空は雲に覆われ、山の輪郭の一部が柔らかく消える。肖像画が多いヴィジェ=ルブランの仕事の中では、人物を主役にしない珍しい風景だ。小さな画面でも、手前の暗い山から遠方の明るい峰へ視線が進む。土地の高さと空気の変化が伝わる。
作品の見どころ
岩や水を一本ずつ硬い線で囲むより、色の重なりで形を作っている。近くの斜面は暗く、奥の山は青みを帯びるため、距離が感じられる。水辺の明るさをたどると、見通しの悪い谷にも奥行きが生まれる。人の姿や建物を探すより、山と雲がどこで接し、どこで離れるかを見ると、この小品の見どころが分かる。
制作背景
メトロポリタン美術館は1807~1808年頃の紙にパステル、所蔵番号2025.708と記録する。パステルは乾いた色材で、油絵具と違う柔らかな重なりが作れる。同館は、国外にいた画家が戸外で風景を描いたことに注目する。肖像画家という一つの肩書だけで生涯を終わらせず、旅の中で試した別の題材として紹介したい。
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この画家について本で読む
画家たちのフランス革命 王党派ヴィジェ=ルブランと革命派ダヴィッド
鈴木杜幾子 著 / KADOKAWA
ヴィジェ=ルブランとダヴィッドの活動から、フランス革命期の画家をたどる本。
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