肩越しの視線と手元の紙が、若い画家の身近な人物を生き生きと見せる。
何が描かれているか
黒い帽子を斜めにかぶった青年が、体を横に向け、顔だけをこちらへ振り返る。茶色の上着の前には紙を束ねたものがあり、手には細い道具を持つ。セントルイス美術館は、画家の弟エティエンヌである可能性が高いと説明する。顔立ちだけで本人と断定せず、身近な青年を描く初期の肖像として見たい。王妃の豪華な衣装が登場する後年の絵とは違い、道具と視線が中心になる。
作品の見どころ
背景と上着は近い茶色だが、明るい頬と白い襟が顔を浮かび上がらせる。肩から顔へ向かう曲線に目を沿わせると、人物が今振り向いたように感じられる。帽子の暗さと、紙の端や指の明るさも見比べたい。大きな装飾を置かず、体の向きと顔の向きを変えるだけで、見る人とのやり取りを作っているように見える。
制作背景
同館は1773年のカンヴァスに油彩、所蔵番号3:1940と記録する。ヴィジェ=ルブランはこの年18歳頃だった。館の説明では、弟とする場合、モデルは15歳頃に当たる。ここでは王妃の肖像で名を上げる前の仕事をたどれる。手の道具の種類や青年の職業まで、画像だけから決めつける必要はない。
出典・画像について
画像:Élisabeth Louise Vigée Le Brun《画家の弟の肖像》/Saint Louis Art Museum / Wikimedia Commons
個別配布画像は原作品と忠実複製をPublic domainと表示しています。国・地域により扱いは異なります。色補正・生成処理・作品の切り取りなし。
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