暗い服に白い襟と赤い帽子が浮かぶ、イギリス滞在時の肖像。
何が描かれているか
黒い服の女性が、体を画面右へ向けながらこちらを振り返る。モデルはアラベラ・ダイアナ・コープ、ドーセット公爵夫人。胸元には白い布と細かな飾りが重なり、赤い帽子には黒いリボンと大きな羽根が付く。明るい頬が帽子と襟の間に収まり、周囲の暗さから浮かぶ。半身を大きく入れた肖像で、風景より服、頭の飾り、顔の向きへ自然に目が向かう。
作品の見どころ
一見黒くまとまった衣にも、肩から胸へ下がる光と小さな影がある。白い襟の細かさと、羽根の広がる輪郭を比べると、素材の違いが分かる。背景の褐色は強い模様を持たず、赤、白、黒の取り合わせを受け止めている。目線は見る人へ戻るため、体の向きが作る距離と顔の親しさを同時に感じられる。絵の姿から本人の性格を決めず、画家の見せ方を追いたい。
制作背景
ナショナル・トラストは署名と1803年の年記がある油彩と記録する。ノールのコレクションに置かれ、サックヴィル家の財産を管理する受託者からの貸与作品である。グラン・パレの展覧会資料によれば、画家は1803–1805年にイギリスを訪れた。亡命からフランスへ戻った後も、国外の貴族を描く仕事は続いた。
出典・画像について
画像:Élisabeth Louise Vigée Le Brun《ドーセット公爵夫人》/Art UK(原撮影者未記載) / Wikimedia Commons
個別配布画像は原作品と忠実複製をPublic domainと表示しています。国・地域により扱いは異なります。色補正・生成処理・作品の切り取りなし。
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