何が描かれているか
楕円形の画面に、白い衣の女性が半身で描かれる。顔を少し上へ向け、口をわずかに開けているため、今にも歌い始めそうに見える。髪と肩に淡い光が当たり、背景は暗く抑えられている。家具や持ち物を多く置かなくても、顔と姿勢だけで見る人を引きつける肖像だ。楕円の中の暗い背景が、人物の明るい姿をいっそう際立たせる。
作品の見どころ
明るい肌から白い布へ視線を動かすと、どちらも同じ白ではないことに気付く。頬には温かい色があり、布には青みや灰色の影が入る。肘を置く緑の布が色の対比を作る。目線は見る人と直接合わず、画面の外へ向かう。この距離感によって、正面から身分を示す公式肖像とは違う、短い瞬間を見たような印象が生まれる。
制作背景
メトロポリタン美術館は1783年の油彩画、所蔵番号50.135.2と記録する。同年のサロンに出た肖像の一つで、ヴィジェ=ルブランが王立アカデミーへ入会した年でもある。モデルのノエル・カトリーヌ・ヴォルレは、のちに外交官タレーランと結婚した。現在の名声や後年の肩書から当時の人物像を決めつけず、1783年の肖像として見たい。
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この画家について本で読む
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鈴木杜幾子 著 / KADOKAWA
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