何が描かれているか
少女ジュリーが手鏡を持ち、鏡の中の顔を見つめる。画面には横顔と鏡に映った正面の顔が同時に現れる。娘の姿を一方向から写すだけでなく、見るという行為そのものを描いた肖像である。緑の服、白い頭巾、鏡の赤い縁が、暗い背景の中で目を引く。顔から鏡へ視線を往復させると、画家の仕掛けが見えてくる。
作品の見どころ
手にした鏡は小さいのに、人物の表情をもう一度見せる大切な場所になる。横顔と映像を比べると、完全に一致する角度ではないことにも気付く。メトロポリタン美術館は、この意図的に成立しない遠近関係が二重の像を作ると説明する。正確な鏡の実験ではなく、絵だからこそ一人を二つの方向から見せられる構図として楽しみたい。
制作背景
同館は1787年のカンヴァスに油彩、所蔵番号2019.141.23と記録する。画家はこの年のサロンに、娘を描いた肖像を三点出したと同館は説明する。この作品は母娘が一緒にいる自画像とは異なり、ジュリー一人を主役にする。鏡を持つ子の姿を通じて、画家が肖像と絵の見せ方を同時に考えたことが分かる。
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