白い衣をまとった人物が、果物や穀物を抱える女性を連れて来る。
何が描かれているか
白い衣をまとった人物が、果物や穀物を抱える女性を連れて来る。題名の「平和」と「豊穣」は、目に見えない考えを人物の姿で表したものだ。二人は肩を寄せ、片方がもう片方を導くように動く。肖像で知られるヴィジェ=ルブランが、実在の人ではなく理念を主役にした作品である。足元の実りまで見ると、平和が暮らしにもたらすものが具体的になる。
作品の見どころ
明るい肌と白い布は、濃い緑や赤い衣に囲まれて強く浮かぶ。視線を二人の顔から手へ下ろすと、関係を示す触れ方が分かる。麦や果物はただの飾りではなく、題名の「豊穣」を読める形にしている。衣の大きなひだと斜めに傾く体によって、静止した記号ではなく、画面の中へ入って来る人々のように感じられる。
制作背景
ルーヴル美術館は1780年の油彩画、所蔵番号INV 3052と記録する。1783年に王立絵画彫刻アカデミーへ入会する際の提出作となり、同年のサロンにも出品された。サロンは当時の公的な展覧会である。肖像画だけでなく、こうした歴史画に近い主題も手掛けたことが、画家の活動の幅を示す。題名と所蔵館の記録に基づく説明で、人物の個人名を推測していない。
出典・画像について
画像:Élisabeth Louise Vigée Le Brun《平和が豊穣を連れ戻す》/Wikimedia Commons / CC0
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