ナポリで出会ったロシアの伯爵夫人。布の輝きと小さな夫の肖像を見比べる。
何が描かれているか
白い布を頭に巻いた女性が、深い緑の椅子に座る。モデルはスカヴロンスカヤ伯爵夫人。青灰色の衣は胸元と膝で光り、緑の袖や金色の帯が重なる。画面右側の手にある小さなメダリオンには、所蔵館によると夫の肖像が入っている。顔の大きな肖像の中に、もう一つ小さな肖像が置かれた構成だ。衣装や装身具を追うと、人物だけでなく家族とのつながりも表されていると分かる。
作品の見どころ
まず首や胸元の明るい肌、次に真珠、そして布の光るひだへ目を移してみたい。濃い背景と椅子が、それぞれの輝きを受け止める。顔は横を向き、下げた手とメダリオンを持つ手は別の高さにある。左右の違いが、整った肖像に小さな動きを加えているように見える。表情から性格を言い当てるより、光と素材の描き分けに注目できる。
制作背景
館は1790年の油彩画と記録する。画家がナポリに滞在した際、ロシアの大使だった伯爵から妻の肖像を依頼された。革命後にフランスを離れた画家が、新たな土地でも肖像の仕事を得た例である。同じモデルの別の肖像もあるため、ここではジャックマール=アンドレ所蔵版に限っている。
出典・画像について
画像:Élisabeth Louise Vigée Le Brun《スカヴロンスカヤ伯爵夫人》/原撮影者未記載 / Wikimedia Commons
個別配布画像は原作品と忠実複製をPublic domainと表示しています。国・地域により扱いは異なります。色補正・生成処理・作品の切り取りなし。
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