1503–1519年
50〜67歳

聖アンナと聖母子せいぼし

画家 レオナルド・ダ・ヴィンチ
La Sainte Anne / ルーヴル美術館
下絵を見るのに、2日にわたって行列ができた。老若男女が祭りのように押しかけたと、ヴァザーリが書き残している。それほど待たれた絵が、完成しないまま終わっている。埋まらなかったのはマリアの顔で、影から光へ移る、いちばん繊細なところだった。51歳で描き始め、死ぬまで手元に置いて、なお埋まらなかった。祖母と母と子の、三世代が1枚に収まっている。

何が描かれているか

三世代が1枚に描かれている。いちばん下に座るのが祖母の聖アンナ。その膝に娘の聖母マリアが座り、身を乗り出している。マリアが抱きとめようとしているのが、孫にあたる幼子おさなごイエスだ。
イエスは子羊にまたがって遊んでいる。子羊は生贄いけにえにされる動物で、この子自身の最期を指している。

作品の見どころ

この絵の下絵を、同時代の人が実際に見て、手紙に書き残している。1501年4月3日、フィレンツェにいた修道士しゅうどうしが、マントヴァの侯妃こうひイザベラ・デステに宛てた報告だ。「レオナルドの暮らしは移り気で、その日その日を生きているように見える」と前置きしたうえで、下絵の中身を細かく描写している。
その説明が、いま見える絵と少し違う。手紙の中の聖アンナは、静かに見守ってはいない。娘が子から子羊を引き離そうとするのを、押しとどめようとしている。教会は、キリストの受難が妨げられることを望みえない。だからアンナは止めるのだ、と修道士は読んだ。ただしこれは下絵についての記述で、完成した絵とは構図こうずが変わっている。

制作背景

51歳の1503年頃にフィレンツェで描き始め、1519年に死ぬまで手放さなかった。
ヴァザーリが書き残した話がある。修道士たちは、この絵を描かせるためにレオナルドを住み込ませ、彼と身内の生活費まで持った。ところが彼は長いこと引き延ばし、何も始めなかった。その間に作った下絵には、2日のあいだ、老若男女が祭りのように列をなして見に来たという。

作品情報

寸法
168 × 113 cm(後に130 cmへ拡張)
材質・技法
ポプラ板に油彩ゆさい(未完成)
所蔵
ルーヴル美術館(パリ)710室
目録
INV 776; MR 319

出典・画像について

出典:ルーヴル美術館 作品ページ2026-09-05 確認)
画像:レオナルド・ダ・ヴィンチ聖アンナと聖母子》/作品: Leonardo da Vinci/画像: C2RMF, Wikimedia Commons(修整版)
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(画像情報:2026-09-03 確認)
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