1491/2–99年 および 1506–08年
38〜56歳

岩窟がんくつの聖母(ロンドン版)

画家 レオナルド・ダ・ヴィンチ
The Virgin of the Rocks / ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
なぜ同じ絵が2枚あるのかは、いまも分かっていない。分かっているのは金の話である。材料が見積もりより高くついたとして、レオナルドたちは注文主の信徒会に増額を求め、争いになった。ナショナル・ギャラリーは、それが通らず彼が1枚目を他所へ売ったらしい、と書く。祭壇に納まったのは、この2枚目のほうだった。洞窟の岩も水も、世界が造られたばかりの姿として描かれている。

何が描かれているか

岩に覆われた洞窟の中で、聖母マリアと、幼い洗礼者せんれいしゃヨハネと、天使が、幼子おさなごキリストを囲んでひざまずいている。キリストは手を上げて、彼らを祝福している。
植物が体に触れている。ナショナル・ギャラリーは「葉がヨハネの膝とキリストのつま先をくすぐる」と書く。岩は四方から人物を囲い込む。

作品の見どころ

無原罪むげんざいの御宿りを記念する祭壇画さいだんがの一部である。この祝日が教皇に公認されたのは1477年。主題の定型がまだ固まっておらず、ナショナル・ギャラリーは、レオナルドが自由に構図こうずを作れたと説明する。
洞窟を選んだことにも理由がある。無原罪の御宿りを支持する人々は「世の初めより前に、私は創られた」という聖句を根拠にした。だから場面は、世界が造られたばかりの時に置かれている。岩も水も、まだ固まりきっていない世界のものだ。

制作背景

同じ主題のルーヴル版に続く2枚目だが、なぜ2点あるのかは確定していない。1490年代初めの文書からは、材料費と報酬をめぐり、レオナルドたちが注文主の信徒会と争っていたことが分かる。
修復調査では制作が複数期に及んだことが分かった。1490年代初めに描き始め、1499年のミラノ離脱で中断。1506年に呼び戻され、契約に指定された群青などを加えたと考えられている。

作品情報

寸法
189.5 × 120 cm
材質・技法
板(ポプラ)に油彩ゆさい
所蔵
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
目録
NG1093

出典・画像について

画像:レオナルド・ダ・ヴィンチ岩窟の聖母(ロンドン版)》/作品: レオナルド・ダ・ヴィンチ/画像出典: Wikimedia Commons(sourceUrl参照)
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(画像情報:2026-09-03 確認)
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