フェルメールの絵は、たいてい同じ部屋で起きている。館の学芸員によれば、家の中に光のよく入る部屋がひとつあって、残っている絵のほとんどは、そこを舞台にしているという。左に見えるこの窓が、その部屋の窓である。同じ窓が、形を少しずつ変えながら、ほかの絵にも出てくる。同じ場所で、光の入り方だけを変えて描き続けたことになる。
何が描かれているか
窓辺に女が立っている。右手を窓枠に掛け、左手は銀の水差しの把手を握っている。水差しは、同じ銀の平たい鉢の上に置かれている。
頭には白い麻の布をかぶり、肩まで垂らしている。上着は黒に近い紺で、金の飾りが入る。裳は深い青。館によれば、これから顔を洗うところで、布は服と髪を濡らさないためのものである。
作品の見どころ
1662年頃から65年頃にかけて、フェルメールは女が一人だけの絵を何枚か描いた。館の言い方では、そこにいるのは自分の領分を治めている女たちである。誰かに見られているそぶりがない。
館は、この絵が私生活を覗き見るような感じを与えるとも書いている。人前に出る顔になる前の時間だからである。窓を開けるという、それだけの動作が、そのまま絵になっている。
制作背景
フェルメールの絵で、はじめてアメリカの公共の収蔵品に入ったのがこの一枚である。1889年、ヘンリー・G・マーカンドの寄贈による。館はこれを、フェルメールの絵の中でも最も美しいものの一つだと書いている。
館の学芸員は、光がどう見えるかということが、フェルメールの一貫した関心だったと言っている。水差しと鉢の縁を光が金色に縁どり、そのぶん厚みが出て見える、という見方である。