何が描かれているか
右ではナルキッソスが腹ばいで水面の自分を見つめ、左ではエコーが岩に座って彼を見る。
二人の間には花と水辺が広がるが、視線は交わらない。
二人の間には花と水辺が広がるが視線は交わらない。ナルキッソスは水面の像へ閉じた輪を作り、赤い衣のエコーは画面の反対側から彼を見る。横長の距離そのものが、同じ場所にいながら互いへ届かない関係を表す。
作品の見どころ
横長画面の両端に人物を離して置き、一方通行の愛を距離そのもので表す。
ナルキッソスのそばの白い花と水面、エコーの赤い衣が、二つの物語を見分ける目印になる。
左のエコーから右のナルキッソスへ視線を送っても、彼の目は水面から動かない。次に水面の反射からエコーへ戻ると、視線が一周せず途切れる。この構図上の断絶が、報われない愛を説明以上に伝える。
制作背景
1903年制作。オウィディウス『変身物語』で、エコーはナルキッソスを愛するが拒まれ、彼は自分の像へ恋をする。
時間の異なる二つの出来事を同じ場所へ置き、互いに届かない欲望を一枚で語る。
オウィディウス『変身物語』では、エコーはナルキッソスに拒まれ、彼は罰として水面の自分に恋をして衰弱する。やがて彼の場所には水仙が残り、エコーは声だけになる。絵は物語の異なる時間を同じ風景へ置き、二種類の報われない欲望を一枚で語る。