織機の前で手を休める女性と大きな鏡で、外の世界への憧れを室内の場面に描く。
何が描かれているか
赤い服の女性が織機の前で手を休め、両腕を頭の後ろへ上げている。手前には織りかけの布、糸の束、木の道具が並び、背後の大きな丸い鏡には川、橋、城の建物が映る。主人公は英国の詩人テニスンの『シャロットの乙女』に登場する女性。詩では、外の世界を鏡に映して眺めながら、その光景を布に織り込んで暮らしている。
作品の見どころ
まず女性の赤い衣から、織機の彩り豊かな布、鏡の明るい風景へ視線を移してみる。市松模様の床や織機の木枠が奥行きを作り、伝説の舞台を人が座って作業できる部屋として見せる。背後の風景が窓の向こうではなく鏡の中にあると気づくと、外を眺める女性と外の世界の間に距離が感じられる。両腕を上げた姿は、作業を休んだ一瞬にも見える。
制作背景
1915年、66歳頃の作品で、現在はトロントのオンタリオ美術館にある。題名は詩の第2部で、新婚の恋人たちを見た乙女が鏡の「影」に飽きたと語る一節に基づく。既存の1888年作《シャロットの乙女》が舟で川へ出る場面を描くのに対し、本作はそれより前の室内の場面。同じ物語の異なる時点を比べると、画家が身振りと場所で心情を伝える方法が見えてくる。
出典・画像について
画像:John William Waterhouse《「影にはもう半ばうんざり」とシャロットの乙女は言った》/John William Waterhouse / Wikimedia Commons — Public Domain Mark 1.0 (PD-Art)
CommonsでPublic Domain表示の忠実複製画像です。撮影者・原取得元は未記載で、複製画像の扱いには国・地域差があります。
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