何が描かれているか
雪の積もる広場に、殉教した少女エウラリアの遺体が横たわる。上空へ白い鳩が舞い、兵士たちは奥へ退く。
画面の大部分を冷たい石と雪が占め、白い身体は斜めに小さく置かれる。
画面の大部分を冷たい石と雪が占め、遺体は最下部へ斜めに小さく置かれる。聖人を立った英雄として中央へ掲げず、低い位置から傷つきやすい存在として見せる一方、上空へ舞う白い鳩だけが垂直方向の動きを作る。
作品の見どころ
聖人を立った英雄として描かず、低い視点から広い空間の中の傷つきやすい存在として見せる。
白い鳩は魂、雪は遺体を覆ったという伝承を示し、暴力の後を象徴で語る。
視線を遺体から兵士、鳩、空へ上げると、地上の暴力から魂の解放へ向かう動きになる。反対に上から雪面へ戻ると、小さな身体の孤独が強まる。縦長画面を往復することで伝承の二面が見える。
制作背景
1885年制作。エウラリアは古代ローマ支配下のスペインで殉教したと伝えられるキリスト教の聖人である。
所蔵館の解説では12歳の少女とされ、死の瞬間より、その後に起こる奇跡を描く。
テートの解説では、エウラリアは4世紀、ローマの神々への供犠を拒んで12歳で殉教したと伝えられる。白い鳩は死の瞬間に口から出た魂、雪は遺体を覆った奇跡を示す。歴史的事実の記録というより、聖人伝に基づく殉教後の場面である。