1718年頃
30代半ば頃

お辞儀するイタリアの喜劇役者たち(素描そびょう)

画家 ヴァトー →
Italian Comedians Taking Their Bows / ワシントン・ナショナル・ギャラリー
幕や建物を背に、役者たちが身を傾かしけて並ぶ。完成した油彩ゆさいとは違い、赤い線と黒鉛で舞台の配置を探る素描だ。中央の直立する人物と、周りの曲がる身体を比べてみよう。

何が描かれているか

幕の前に役者たちが並び、中央の人物はほぼまっすぐ立っている。左の人は肩や顔を傾け、右では前にかがむ人物の線が大きく動く。お辞儀の場面でも、全員が同じ角度で頭を下げるわけではない。
背景には柱や建物があり、上から布が垂れている。舞台と人の位置を一緒に眺めてみよう。細い線で遠景まで示され、手前の一座との間に距離が生まれている。

作品の見どころ

赤いチョークの柔らかい線と、黒鉛の灰色の線を見比べてみよう。人物の輪郭りんかくは何度も重ねられ、場所によって描き込みが違う。線のずれからも、姿勢を探る途中の動きが感じられる。
中央の縦の姿と、左右の曲がる腕や腰を交互に見ると、一座にまとまりと変化がある。紙の淡い地、四辺、右下の収集印も眺めたい。紙へ戻ると、線の軽さに気づく。

制作背景

1718年頃、赤チョークと黒鉛を使い、クリーム色の簀の目紙に描かれた。所蔵館は素描として登録している。衣服を色で塗り分けず、線の重なりと明暗で一座の姿を伝えている。
同館の油彩《イタリアの喜劇役者たち》と比べると、配置や身ぶりの違いを見つけられる。この素描を、その油彩の直接の準備作と断定しない。舞台という共通主題を、線と絵具の両方から味わいたい。

作品情報

材質・技法
クリーム色の簀の目紙に赤チョーク、黒鉛
所蔵
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
目録番号
2000.9.27

出典・画像について

画像:Jean-Antoine Watteau《お辞儀するイタリアの喜劇役者たち(素描)》/Courtesy National Gallery of Art, Washington / Wikimedia Commons
画像の出典 / CC0(画像情報:2026-10-02 確認)
NGA寄贈の個別画像CC0。 全景と紙の余白を保ち縮小。
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