ケレス(夏)
画家 ヴァトー →Ceres (Summer) / ワシントン・ナショナル・ギャラリー
麦と鎌を持つ女性が、雲の上に腰を下ろしている。収穫の女神ケレスに夏を表した、部屋の装飾のための絵だ。庭の男女を描く小さな作品とは、見る距離も画面の大きさも違う。
何が描かれているか
麦を髪に飾った女性が雲に座り、片手に曲がった刃の鎌を持つ。古代ローマの収穫の女神ケレスで、ここでは夏を表す。足元にライオンとザリガニ、右には女性と子どもがいる。
所蔵館は周囲の姿を、夏の星座である蟹座・獅子座・乙女座と結び付ける。女神から麦、鎌、動物へ目を移してみよう。季節を、人物や物の組み合わせで示す絵だと理解しやすくなる。
作品の見どころ
白い衣服と淡い桃色の布が、雲の色へなめらかにつながる。女神の腕と布のひだをたどると、楕円の内側を回るように目が動く。
高さ約142センチの、部屋を飾る大きな画面だった。館の研究目録は、小型作品とは異なる広い筆の扱いを指摘する。細部を見たあと、離れて全体の明るさも眺めてみたい。
制作背景
1717〜1718年頃の油彩。美術収集家ピエール・クロザの食堂を飾った、四季の連作の一枚だ。研究目録によれば、扉の上に置かれた可能性が高い。雲の上の女神を、下から見上げる位置だったのかもしれない。
同じ連作の《春》は1966年に焼失し、《秋》と《冬》も所在不明と研究目録は記す。残るこの《夏》から、ヴァトーが庭で交流する人々だけでなく、神話を用いた室内装飾にも取り組んだことが分かる。
出典・画像について
画像:Jean-Antoine Watteau《ケレス(夏)》/Courtesy National Gallery of Art, Washington / Wikimedia Commons
NGA寄贈の個別画像CC0。 楕円外側の白背景のみ透過し、境界を保護して縮小。
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