壁を埋める絵を眺める客、作品を箱に収める人、店へ入ろうとする女性。画商の店を、通りからのぞくような横長の絵だ。もとはジェルサンという画商の看板として作られ、絵を見る人や売る人も主役になっている。
何が描かれているか
左側では額に入った絵が大きな箱へ収められている。中央には明るい服の女性が立ち、右側では客たちが別の絵を見ている。壁には大小の作品が重なるように掛けられ、店そのものが小さな美術の世界になっている。
ここでは神話の英雄や舞台の役者ではなく、絵を扱う人々の行動が中心になる。持つ、運ぶ、見比べる、店へ入るという違う動きが、一つの店内で同時に進んでいる。
作品の見どころ
中央の女性の淡い服を目印にして、左の箱、右の客へと視線を広げてみよう。絵を商品として片付ける動作と、目を近づけて味わう動作が対照的に見える。
横長の画面は、店の前を通りながら眺めるような感覚を生む。壁の絵を一枚ずつ特定しなくても、人々がどこを見ているかをたどるだけで、画商の店の活気を感じられる。
制作背景
パリの画商ジェルサンの看板として、ヴァトーの晩年に制作された。所蔵機関は1720年の制作と、その後の別の画家による加筆を区別している。現在見えるすべてを、ヴァトーが一度に描いたとはしない。
現在はベルリンのシャルロッテンブルク宮殿の所蔵。二つに分かれた画面を合わせた姿で紹介している。店の宣伝のための絵が、今は人々の鑑賞のしかたまで見せる作品として残っている。