1718年頃
30代半ば頃

男性の頭部(メズタンの習作しゅうさく)

画家 ヴァトー →
Head of a Man / メトロポリタン美術館
顔を上げ、少し口を開いた男性の頭部。ギターを持つ《メズタン》を準備するための素描そびょうだ。衣装や庭を外して顔に近づくと、赤と黒の線が表情を組み立てる様子が見える。

何が描かれているか

帽子をかぶった男性が顔を傾かしけ、目を上へ向けている。少し開いた口、頬のふくらみ、首のひねりが強く描かれる。画面をほぼ一杯に使った頭部だけで、人の動きを伝える素描だ。
これは同じ美術館の油彩ゆさい《メズタン》のための習作。メズタンはイタリアの即興喜劇の役柄だ。完成作ではギターを弾くが、ここには楽器がなく、表情と顔の角度に集中できる。

作品の見どころ

赤い線は耳や唇、鼻の形を支え、黒は髪や顎の下の暗さを強める。薄い頬の赤と、首の濃い黒を見比べてみよう。重なる細かな跡が、平らな紙に顔の丸みを作っている。
上向きの目と口元を一緒に見ると、歌の途中のようにも、誰かを見上げるようにも感じられる。ただし、モデルの気持ちや名前はこの紙から断定できない。役柄と一人の表情を分けて考えたい。

制作背景

1718年頃、ヴァトーが三十代半ばの時期に、赤と黒のチョークで描いた。所蔵館は頭の角度、上向きの目、開いた唇が油彩へ引き継がれたと説明する。習作と完成作を具体的に見比べられる。
紙は高さ約十五センチの小さなもの。頬の擦れた線と首の濃い跡を追うと、完成した油彩とは別の描く手の動きが見えてくる。顔の細部から全体へ戻り、どこを濃くしたか確かめてみよう。

作品情報

材質・技法
紙に赤・黒のチョーク
所蔵
メトロポリタン美術館
目録番号
37.165.107

出典・画像について

画像:Jean-Antoine Watteau《男性の頭部(メズタンの習作)》/The Metropolitan Museum of Art, New York
画像の出典 / CC0(画像情報:2026-10-02 確認)
メトロポリタン美術館の個別Open Access画像、CC0。 全景と紙の余白を保ち縮小。
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