1715〜1716年頃
30代前半頃

連隊へ向かう新兵たち

画家 ヴァトー →
Recruits Going to Join the Regiment / メトロポリタン美術館
銃を担いだ人々が、道を横切って進んでいく。これは絵画を他人が写した版画はんがではなく、ヴァトー自身が銅板に線を描いた稀少な例。後の加筆前の、細く揺れる線を見てみよう。

何が描かれているか

銃や荷物を担いだ人々が、右から左へ道を進んでいる。先頭には馬に乗る人物がおり、後ろの人たちは背を丸めたり、顔を横へ向けたりする。歩く一人ずつの姿をたどると、行列の長さが感じられる。
所蔵館は、戦地へ補充に向かう新兵の移動と説明する。戦闘の瞬間より、兵士の普段の暮らしに目を向けた主題だ。前へ進む足と肩の荷物を見比べると、歩く速さや重さまで想像したくなる。

作品の見どころ

上着のしわ、草、雲を形づくる細い線を見比べてみよう。線は短く重なったり、大きく曲がったりする。色を使わない画面でも、その違いが人の姿勢や道の広がりを伝える。
中央の行列を追ったあと、遠くの風景と紙の余白へ目を戻してみよう。濃い線と淡い線が入り交じり、風景が奥へ広がる。

制作背景

1715〜1716年頃のエッチングとドライポイント。ヴァトー自身が版に取り組んだ例は少ない。この紙は、専門の版画家トマサンが銅板を彫り直す前の第一ステート、つまり最初の段階の刷りだ。
所蔵館によれば、後には深い線が加えられ、多くの部数を刷れるようになった。ここにはその加筆前の線が残る。絵画を別の人が版へ写した複製ふくせいとは違い、画家自身の版上の描き方に触れられる。

作品情報

材質・技法
紙にエッチング、ドライポイント(第一ステート)
所蔵
メトロポリタン美術館
目録番号
2006.43

出典・画像について

画像:Jean-Antoine Watteau《連隊へ向かう新兵たち》/The Metropolitan Museum of Art, New York
画像の出典 / CC0(画像情報:2026-10-02 確認)
メトロポリタン美術館の個別Open Access画像、CC0。 全景と紙の余白を保ち縮小。
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