1715〜1716年頃(現行目録)
30代前半頃

三人の女性の習作しゅうさく

画家 ヴァトー →
Studies of Three Women / ゲティ美術館
正面、座る姿、後ろ姿が一枚の紙に並ぶ。完成した物語の場面ではなく、服と動きを確かめる習作だ。三色のチョークが、線だけの人物にどのような明るさを与えるかを見たい。

何が描かれているか

左にはこちらを向いて立つ女性、中央には扇を持って座る女性、右には後ろ向きの女性がいる。それぞれの衣服や動きを調べた素描そびょうだ。背景のない紙の上に異なる姿が並び、服の向きが姿勢を伝える。
中央では顔や胸元を黒い線が支え、スカートには白い明るさが入る。左右の人物は赤い線の比重が大きい。比べると、描き込みの密度も違う。

作品の見どころ

赤・黒・白の三色のチョークを使う方法は、トロワ・クレヨンと呼ばれる。赤い輪郭りんかく、黒い影、白い光を手がかりに眺めてみよう。それぞれの線を追ってみよう。
右の背中から裾へ続くしわと、中央の扇の細い線を比べてみよう。大きな服のひだと小さな手の動きが、一枚の紙に同居する。紙の茶色と白いチョークの明るさの違いも見どころだ。

制作背景

ゲティの現行目録は1715〜1716年頃とする。2021年の同館展覧会では1716〜1717年頃と紹介されており、年代には幅がある。いずれも、ヴァトーが三十代前半に描いた習作として扱える。
所蔵館によれば中央の女性は、1717年の《シテール島への巡礼》に使われた。習作を蓄え、後で人物を選んで絵を組み立てる制作法の一例だ。完成した油彩ゆさいと、扇や身体の向きを見比べてみたい。

作品情報

材質・技法
紙に赤・黒・白のチョーク
所蔵
ゲティ美術館
目録番号
86.GB.596

出典・画像について

画像:Jean-Antoine Watteau《三人の女性の習作》/J. Paul Getty Museum, Los Angeles
画像の出典 / CC0(画像情報:2026-10-02 確認)
ゲティの個別画像CC0。画像の条件と解説本文のCC BY 4.0を分けて確認。 全景と紙の余白を保ち縮小。
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