1890年7月
37歳

カラスのいる麦畑

画家 フィンセント・ファン・ゴッホ
Wheatfield with Crows / ファン・ゴッホ美術館
荒れた空、カラス、行き止まりの道。「最後の絵」と呼ばれ、最期が近いことを表しているとよく言われる。ところが所蔵するファン・ゴッホ美術館は、それをはっきり作り話だと書いている。この後にも作品はある。本人が書いたのは、麦畑で悲しみと極度の孤独を表したい、しかし同時に田舎の健やかさも見せたい、ということだった。

何が描かれているか

横に長い画面。荒れた濃紺の空の下に黄色い麦畑が広がり、カラスの群れが飛んでいる。手前の赤い道は、途中で行き止まりになっている。
色の当て方が強い。青い空と黄橙の麦がぶつかり、道の赤は、両脇に走る緑の草の帯に挟まれていっそう濃く見える。ゴッホがこの絵で使ったのは、そういう組み合わせだった。

作品の見どころ

「ゴッホの最後の絵」と言われることが多い。荒れた空、カラス、行き止まりの道。彼の最期が近いことを表している、と。ところがファン・ゴッホ美術館は、これをはっきり「しつこく残る作り話」と呼んでいる。この後にも彼は何点か描いている。
では何を描こうとしたのか。ゴッホ本人は、嵐の空の下の麦畑で「悲しみ、極度の孤独」を表したいと書いている。それと同時に、田舎の「健やかで、力を与えてくれるもの」も見せたかった、とも書いた。悲しみと力が、1枚のなかに同居している。

制作背景

1890年7月、37歳。パリ近郊のオーヴェル=シュル=オワーズで描かれた。ゴッホが亡くなるのは同じ月の29日である。
「最後の作品」という言い伝えが、この絵にはずっとついて回ってきた。日付も場所も、その物語によく合ってしまう。だが記録の上では、この後にも作品がある。ファン・ゴッホ美術館はそれを明言している。

作品情報

寸法
50.5 × 103 cm
材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ファン・ゴッホ美術館(アムステルダム)
目録
s0149V1962(F0779・JH2117)

出典・画像について

画像:フィンセント・ファン・ゴッホカラスのいる麦畑》/Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)/Google Arts & Culture/Wikimedia Commons
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