1889年
35〜36歳

麦畑と糸杉いとすぎ

画家 フィンセント・ファン・ゴッホ
Wheat Field with Cypresses / メトロポリタン美術館
この絵を、ゴッホは同じ年の9月に室内でもう2度描き直している。最初の作品は、野外で目の前の自然から直接描いたものだった。右寄りの大きな糸杉が画面を引き締める。厚く重ねた絵の具は、吹きつける風と午後の暑さを感じさせる。雲と麦の流れは、画面を横切る風の向きまで伝える。本人はこれを、自分の夏の風景画のなかで最良のひとつに数えていた。

何が描かれているか

黄色い麦畑の向こうに低い山なみ、右寄りに濃い緑の糸杉が立っている。空には白い雲がうずを巻き、手前の茂みは風になびいている。
筆の跡が生きている。厚く重ねた絵の具が、吹きつける風、揺れる木と麦、午後の強い暑さをそのまま伝えてくる。その場ですぐ描いた絵にしか出ない速さがある。実際ゴッホは、この風景を野外で、目の前の自然から直接描いている。

作品の見どころ

ゴッホがこの絵を気に入っていたことは、その後の行動でも分かる。9月に、彼はこの構図こうずをもう2度描き直している。1点は同じ大きさで(ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)、もう1点は小さな複製ふくせいで、母と妹への贈り物として描かれた。
この作品は、野外で自然を前に描いた最初の習作しゅうさくである。ゴッホはその後、同じ構図を部屋の中で2度描き直した。1点は同じ大きさ、もう1点は母と妹への贈り物にした小型版だった。

制作背景

1889年6月末、36歳。サン=レミの療養所りょうようじょにいた時期に、野外で描かれた。
この年の6月末、ゴッホは糸杉を最初の連作れんさくの題材にすると決めた。厚くった絵の具が特徴の、その場で描いた習作が何点も残っている。縦長で木に近づいた《糸杉》と、この横長の大きな構図は、その代表である。

作品情報

寸法
73.2 × 93.4 cm
材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
メトロポリタン美術館(ニューヨーク)822室
目録
1993.132

出典・画像について

出典:メトロポリタン美術館 作品ページ2026-09-05 確認)
画像:フィンセント・ファン・ゴッホ麦畑と糸杉》/The Metropolitan Museum of Art, New York
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-09-03 確認)
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

もっと知りたいゴッホ 改訂版
圀府寺 司 著 / 東京美術
ゴッホが移り住んだ土地を手がかりに、生涯と画業をたどる本です。サン=レミの時期も扱います。
楽天ブックスで見る →